2020年5月25日 11:00
ガン発見で引退のたかね吹々己 宝塚トップからホテルの女将に
『手術で90パーセント完治します』とも。でも、そのあとに『ただ、歌うことはできません』と……。手術をすれば、声帯をつかさどる反回神経を傷つけてしまう。初期のがんで、普通に会話する分には問題ありませんが、人に聴かせる音楽性の声を維持するのは無理だと。パフォーマーとして、それはどうかなと思ったんです」
コロナ禍で世界中が未曽有のパニックに陥るさなか、人生の一大転機に果敢に挑もうとしているたかねさん。そのバイタリティは、止まる所を知らない。
「『歌い方にもいろいろあるから』と言ってくれる人もいます。でも、やっぱりそれでは自分が許せない。
この仕事って、日々精進で、ゴールはないんです。最後の日がくるまで、一歩一歩、前進したい。だから、これ以上、進めないということであれば、歌、舞台、一切やめよう。そう思いました」
たかねさんは潔い。一度、決めたらブレない人だ。そこに、ホテルの女将さんを探していると、声がかかった。がんの手術は5月27日。思いはすでに、入院・手術を飛び越えて、女将さん業へと向いている。
「生きてさえいれば、どんなところでも自分を生かす道はある。人さまのお役に立つことができるのであれば、どんな場所でも、そこがステージ。