2020年6月8日 11:00
女性支援医療の第一人者・対馬ルリ子 直面した“女だから”の壁
を開業。
次第に、対馬さんの活躍もあってか“女医ブーム”が到来。国も動きはじめ、各地の国立病院にも女医が女性を診る“女性外来”がつくられた。
「でも、あれは打上げ花火で終わったんです。研修を終えたばかりの女性医師を配置しただけ。DVでも更年期の話でも、研修を積まないと理解できません。結局、不採算部門だということで、潰されてしまったところが多い」
一方で、対馬先生のクリニックには、あちこちの産婦人科をさまよった結果、やっとたどりついたという女性たちの受診が増えた。じっくり話を聞くからこそ、見えてくるものがある。
DVもそのひとつだ。
「長年DVを受けている人は、自己価値感が低いので、自分でDVを受けていると気づいてない人も多い」
背後にDVが隠れていると、治療の効果が上がりにくいという。
「ある患者さんには、治療をしつつ、家を出る相談にものっていました。ある日、その方は、夫にナイフで切り裂かれたバッグを持ってきて、『私、決心したから、先生にこれを証拠として持っていてもらいたいんです』と。彼女は、そのあと家を飛び出してシェルターに行きました」
数々の壁を乗り越え、立場の弱い女性を助け続ける対馬さん。