2020年8月21日 11:00
ALS患者嘱託殺人 被害女性の“後悔”にどう応えるべきか
その結果、積極的な医療に踏み出せない。ALS患者は、7割が人工呼吸器を拒否、つまりその後の死を選択しているのです」
今回の事件で被害女性は、栄養剤を注入する胃ろうに関して、後悔の念をブログやSNSでつづっている。
《胃ろう、、、つくらなきゃ良かった、、造らないという選択を選べるなら、使わないという選択はできないのか、、、??》
こうした声は無視できない。
「患者の容体急変で、考える時間がなく、『ともかく救ってください』と延命治療を始めるようなケースもあります。しかしその後“こんなはずではなかった”と後悔したとき、病状や年齢、経済状況などを含めた患者や家族の思いに医師が寄り添い、尊厳ある死を迎える方法を選択できる道筋が必要なのではないでしょうか」
須田さん自身、ALS患者の医療について葛藤した過去がある。
「私自身も呼吸困難で意識が混濁したALSの患者さんに人工呼吸器を入れて、本当にこれでよかったのか自問したことがあります。そのときは患者さんの容体が安定してから、ご本人に生きたいという意識があったことを知ってホッとした覚えがあります」
しかし、仮にその患者が治療を望んでいなかった場合、後からそのことが判明しても、人工呼吸器の管を抜くことは罪に問われる可能性が高い。