2020年9月22日 11:00
真矢ミキ「10年介護した母が人間のおもしろさを教えてくれた」
仕事と介護の両立では大変なことも多かったが、そんなとき、母親とのコミュニケーションを円滑にしてくれたのも“食”だった。
たくさんの思い出を残してくれた母親も2年前、88歳で逝去。晩年は認知症が進行し、真矢さんのことがわからなくなることもあったが、その姿から学ぶことも多かったと振り返る。
「母が亡くなるまでの10年間は、多くの発見もあり、勉強にもなりました。まず、年齢を重ねるとはこういうことなのかと。母にとっての1年は、私たちの5年くらいの感覚で、老化のスピードは想像以上に速い。日に日に体が重くなるのに、心は反比例するかのように無邪気で、探求心も旺盛ですし、まだまだたくさんのことをやりたいという欲が見られました」
また、母親と一緒に暮らそうと言ってくれたパートナーには、あらためて感謝がこみ上げてきた。
「同居したときは、結婚して4年ほどたっていましたが、『この人でよかった』と再確認することができて、それがうれしかったなあ。
老いというのは、誰にでも訪れます。大人になって、物事がわかったような気になっているけれど、まだまだ知らないことはいっぱいあって、老いもその一つなんだな、と思いました」