2020年9月24日 11:00
脚本家・中園ミホ 運気を“爆上げ”した「出産」という選択
産んでいなければ、脚本家を続けていたかどうかさえわかりません」
当時のテレビ業界はパワハラ・セクハラが当たり前。女性脚本家が生まれては消える、死屍累々の劣悪な環境だった。
「それまではいつも『この作品を最後に辞めよう』と思っていましたが、子どもを産んでからは、『もうこの仕事しかない』と腹をくくりました」
この誓いを立てたときに買い求めたのが、インドの神様「ガネーシャ」の指輪。産休をとったため、当時の預金残高1万5,000円まで減っていた。
「息子をバギーに乗せて自宅近くの安養院というお寺にお参りしたとき。そこの北インド・チベット仏教美術展の売店で『働き者になって困るほどお金が入ってくる』という文句に惹かれ、思わず7,000円のガネーシャの指輪を買ってしまったんです。帰宅すると、テレビ局から仕事の依頼が。怠け者でまったくお金が貯まらなかったそれまでの生活から一変。
みるみるうちに残高が増えていきました」
産後の復帰作、シングルマザーのヒロインを描いたドラマ『FOR YOU』(’95年)が高視聴率を記録。その後、林真理子さん原作のドラマ『不機嫌な果実』(’97年)の成功で恋愛モノの執筆が続々と舞い込み、さらに人生のステージを引き上げていく。