2020年10月21日 15:50
2人の我が子に“遺産の取り分の差”をつける遺言の書き方
【ケース】面倒をみてくれた子どもに財産を多く残したい
光文幸子(75歳)は夫に先立たれた後、自宅を処分し、有料老人ホームで暮らしている。
幸子は今の暮らしが気に入っていて、自宅の処分やホーム選びに力を貸してくれた長女にとても感謝している。入居後も、長女は孫を連れてよく面会に来てくれ、電話でも話を聞いてくれる。
いっぽう、長男は実家のことは姉に任せきり。近くに住んでいるのにほとんど顔を出さない。
幸子には預貯金が3,500万円ほどあるが、90歳まで生きるとしたら半分はなくなるだろうと計算している。残りを相続するとき、長女に多めに残したい。
「相続の場でもめる原因になりやすいのが、『私は親の面倒をよくみたのに……』と言う感情です」
親の立場から見ても、幸子のように、面倒をみてくれた子にはほかのきょうだいより多めに残したいという人は多いだろう。
「残念ながら法律は“やさしさ”を評価してくれません。相続でもめて裁判になった場合、たとえば介護のヘルパー費用が月8万円必要なところを、娘が手伝ったことで月4万円に減ったなどお金に換算できると、『面倒をみた=寄与分』が認められやすく、長女が多めに相続できるかもしれません。