2020年10月26日 11:00
看護師語る“コロナ看取り”の現場 92人感染の老人保健施設で
アカシアハイツで看護師が必要だという緊急メールが金澤さんの元に送られてきたのは今年5月3日だった。
「自分が感染するリスクもある。悩みました。札幌市に問い合わせたら、個人防護具は十分確保している、と。それなら自分を感染から守り最後まで全うできると思って行くことを決めたんです」
5月8日、金澤さんは施設に雇用される形で、アカシアハイツに入った。そこは、一人で何人もの高齢者を看取らねばならないほど壮絶な現場だった。
「防護服を着てアカシアハイツに入ったら、1階には、陰性の方が約40人。2階には、陽性の方が約50人いました。
私が到着した時点では、急きょ支援に入った看護師が4人と、介護士や事務の方を含めて、スタッフはわずか15人ほどだったと思います。この人数で約100人の入所者をケアするほかなかったんです」
元々、看護師と介護士合わせて約45人のスタッフがいたが、新型コロナに感染したり、辞めてしまったりして激減していたという。4月下旬から5月にかけて、ちょうど北海道は、感染者がピークに達していた時期だった。リスクの高い高齢者は真っ先に入院させるべきだが、ベッドの空きもなく、施設で見ることを余儀なくされていた。