2020年11月12日 06:00
15~29歳の介護者21万人。知られざる“若者介護者”の実態
若年介護者が増加している背景は、少子高齢化社会が進んだうえに、シングル世帯や共働き世帯も増加したこと。家族ケアをする大人の人手が少ないことから、たとえ未成年でも大人が担うような介護をしているのです」(宮崎さん)
そんな若年介護者の問題点はどんなことなのだろうか?
「家族がケアすることは悪いことではありません。ただ、認知症の祖父や祖母のケア、障害のある兄弟姉妹の介護、病気の親の世話などをするなかで、負担が限界を超えて、学業や就業、若者らしい生活や将来、自由まで犠牲になってしまう。その結果、不登校になったり、中退したり、進学や就職を諦めてしまったりするケースが多いのです」
宮崎さんも、高校卒業する直前に母親の容体が悪化。介護に注力するため大学進学を一度は諦めた経験がある。さらに、介護の話をしても周囲が理解してくれない場合も多いという。
「介護は中高年層がやるものだという認識が強いため、若くして介護していると『なんであなたが?』と疑問視されることが多い。そのため学校や会社でも事情が伝わらず、1人で抱え込んでしまうケースも少なくないのです。
若年介護者の多くは、どんなにつらくても、家族のことだからとSOSの声を出しづらい。