2021年3月20日 06:00
“うたのおねえさん”茂森あゆみが感じた「松田聖子の歌唱力」
歌うことに向いている』とおだててくれたんですよ」
音楽の基礎教育を受け、姉が聴くイタリア歌曲をマネし、父にカタカナで書いてもらった外国語の歌詞を見て、ラテン音楽を歌った。
「声楽家になる夢を抱いたのは、小5のとき、地元・熊本に来たレナータ・スコットというオペラ歌手のステージを見たことがきっかけでした」
そんなころに出合ったのが、聖子の8枚目のシングル『赤いスイートピー』だったのだ。
「出だしは低音で、そこからサビの高音まで、すごく幅広い音域をしっかり歌えることに驚かされました」
初のバラード曲であることにも、茂森さんは注目している。
「速いテンポの歌は勢いで歌うことができますが、ゆっくりした曲は1音1音をしっかり歌わないとボロが出ちゃう。しかもブレスも長い。あれだけ細い体で腹式の声が出ることは驚きです。ときおり差し込む“聖子節”みたいな魅力的な声の使い方もあり、ただ歌がうまいだけではない、断トツの歌唱力を、当時から感じていました」
『瑠璃色の地球』(’86年)などにも魅了された中学時代を終えると、茂森さんは本格的に音楽と向き合うため、武蔵野音楽大学附属高、そして武蔵野音大声楽科へと進んだ。