2021年3月29日 11:00
認知症になった専門医の長女にあった「父の異変への不安」
という強い思いが、長谷川さんにあったからだ。
もし家族が、自分が、認知症になってしまったら……そんな不安を抱える人は多い。
「父は認知症になる以前から、近所の『カムイ』という珈琲店に行くのが楽しみで、私もよく一緒に行きました。店主は父のことをよく理解してくださっているので、ひとりでも安心してくつろげる場所だそうなんです。そして40年以上父が通ってきた理髪店の『トリム』さんは、父がひとりで行けなくなると送迎までしてくださって。認知症になってから『支えてください』とお願いするよりも、当たり前の生活ができているころからつながりをつくっておくということが大事なんだと思います」
最後に、長谷川さん自身が、こんなメッセージを寄せてくれた。
「少し前まで、社会は認知症の人に対して“そっちにいればいい。僕たちはこちらで生活するから”というような囲いをつくってしまっていました。
現代は、その囲いをとっぱらわないといけない時代といえるでしょう。でも、支えがあるうちは安心して生きていける。一対一で対等な関係で話ができるときは、いつでもうれしいし、楽しいんですよ」
今ある絆を大切にすることで、未来への不安を振り払えるかもしれない。
「女性自身」2021年4月6日号 掲載
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