2021年5月17日 11:00
元患者がスタート!がん克服後の孤独を救うNY発フィットネス
友人たちが盛り上がるアンチエイジングの話も、冷めた思いで聞いていた。
「生き続けられるか否かに苛まれていた私には、なんでそんなレベルの話をしているんだろう、としか思えなくて。それに、がんになった瞬間、それまで近くにいると思っていた人の幾人かから連絡が来なくなりました」
他人の心変わりの早さに大いに戸惑い、落胆もした。
「退院して家に帰ると、手術前とは変わってしまった自分が強調されます。体が疲れ、まひが残って、やりたいことができない。私だけが日常生活についていけない。一生、この生活なの?と思って」
手術後の運動はよいと、アメリカの文献で読んでいたが、スポーツクラブはがんを理由に入会を断られ、運動教室も見つからない。とにかく体を動かしたくて、皇居1周、5キロを40分かけて走り、水泳も始めたが、思うように体が動かせなかった。
「整形外科でリハビリをと思ったのですが、そこでも断られてしまって。精神的に苦しくなって、適応障害になってしまった……」
語る広瀬さんから、笑顔が消えた。
雑誌で、NY発のがん患者のリハビリエクササイズ「Moving for Life」(以下MFL)を見かけたのは、そのころだ。