くらし情報『「ワクチン接種は、私の最後の役目」島で診療70年の94歳医師』

2021年7月5日 11:00

「ワクチン接種は、私の最後の役目」島で診療70年の94歳医師

《特異なものではなく平凡な毎日の診療ですが、それでもよろしかったらお受けしたいと存じます》

その筆跡に、優しく穏やかで謙虚な人柄がにじみ出ていた。

「先生は島の宝ですよ」と言うのは、自動車工場経営の橋柿秀市さん(71)だ。

「年寄りは、夜中に具合が悪くなりがちです。そんなとき、先生の自宅の連絡先は島のみんなが知っているから、電話をするわけですよ。先生の意見を聞いて、救急車を呼ぶかどうか判断する。

先生も、島の人のことならたいてい知っている。家がどこで、何の仕事で、塩分の多い食事をしているとか、先生は全部、わかっているんです。だから、私たちは安心して暮らしていけるんです」

佐藤先生は口数が少ない。
橋柿さんが診てもらうときも、たいていは「ふむふむ」と患者の顔をじっと見つめるだけだという。

「病気はなんですかね?と聞いても『ふーむ』って。そうなると、どんな症状で、痛みはこうで、こんな生活だからダメなのかなって、自ら進んで話してしまう。先生は患者に気持ちよく話させるんです。そこから患者の情報を取り入れて、できる範囲は対処し、手に負えない場合は大きな病院へ回す。その判断がまた的確なんです」

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