くらし情報『「ワクチン接種は、私の最後の役目」島で診療70年の94歳医師』

2021年7月5日 11:00

「ワクチン接種は、私の最後の役目」島で診療70年の94歳医師

先生の孫の石川慧さん(28)は、昨年秋、急な腹痛に襲われて、佐藤医院に駆け込んだ。

「おじいちゃんは僕の話を聞いて、触診したうえで『あ~、これは虫垂炎だ。紹介状を書くからね』って。普通の病院だったら、血液検査をし、精密検査をして診断しますよね。患者に触らずに病名を決める。でも、話を聞き、触って、その感覚と経験をもとに診断してくれる祖父のほうが、安心したんです。小さいころ、なぜ、患者さんは最新設備の整った病院じゃなく、佐藤医院に来るんだろうって不思議でしたが、その答えを見つけたような気がしました」

島で出会う人、出会う人に佐藤先生のことを聞くと、「本当にいい先生で」と、長い話が始まる。日本の医療設備は世界一といわれるが、それに比べて医療に対する満足度や国民の幸福度は低い。
しかし、戸馳島は違うようだ。

「地域医療とは、その地域の人たちとの付き合いでしょうかね。患者さんの病歴や生活状態、過去を知っているからこそできる医療です。昔は当然のことでした。近代医療になって、大病院に集中するようになって、地域医療はだんだん薄れてきた感があります。これは時代の移り変わり。いいも悪いもない。時代の流れでしょう」

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