2021年7月22日 19:48
「一匹も殺したくない」東京の獣医師と、亡くなった台湾の獣医師をつなぐ思い
そう約束したから……。犬や猫たち、動物が見ているような気がする。僕がうっかりお金やしがらみを理由に命を救わなかったりしたら、怒られそうでいやなんです」
太田さんの口から、そんな言葉が自然に出てくる。
「すごい人だなあ、絶対(脚本を)引き受けよう」。太田さんは飛び抜けたとんでもない人なので、彼を話の中心に据えれば、振り回された人も含めて描けるだろうな、という手応えありました。
ちょうどその頃、NHKの「家族になろうよ」という3時間のスペシャル番組を作ることになり、それに太田さんにも出てもらおうということになりました。番組では海外の犬猫の殺処分についても紹介されし、私はかねてから興味のあった台湾の現状を取材しました。
台湾に興味を抱いたのは、2017年に犬の殺処分をやめたからです。
ちなみに、日本は減少しているとはいうものの、1年で約3.8万頭(犬7,687頭、猫30,757頭/環境省・2018年)もの犬猫が処分されています。日に換算すると105頭にもなります。
台湾が殺処分をやめることになったきっかけは、2013年公開の「十二夜」というドキュメンタリー映画です。台湾では、保健所に収容された犬は12日後に処分になるのですが、それを淡々と描いた作品です。