2021年10月24日 06:00
レジ打ちからホテル社長へ 元専業主婦社長が語る「埋もれた人材」
果たして長女はアメリカの名門・ハーバード大学に進学。
子育てから解放された薄井さんは「無理やり、退職させられたような喪失感を味わった」という。
「2つのことを考えました。1つは、もう専業主婦でいる理由はないということ。もう1つは、『将来、ママみたいになりたい』と言ってくれた娘に、一度、専業主婦になったらキャリアは持てないと思わせてはいけない、そう思った。専業主婦を経てもキャリアアップできると証明しないといけないと」
ちょうどそのころ、長女が通ったバンコクの学校から「カフェテリアで働かないか」と誘いを受ける。こうして「給食のおばちゃん」として仕事に復帰。そこで薄井さんは、持ち前のスキルを存分に発揮した。
「自分は英語もできたし、引く手あまたとまでは言わなくても、秘書かなにか、少なくとも仕事にはすぐ就けると思ってたんですが……」
11年に薄井さんは、バンコクのカフェテリアでの成功体験を持って日本に帰国した。そこから、改めてキャリアを築いていくはずが、もくろみは大きく外れてしまう。
「求人に応募しても、面接すら受けさせてもらえないんです。もう、何社落とされたかも覚えてない。半年間、来る日も来る日も、履歴書を送っては、片っ端から落とされ続けました」