2021年12月4日 06:00
認知症になった蛭子さん「最後の絵画展プロジェクト」が始動!
「ロボットってどういうのやったっけ?」という蛭子さんに、スマホで検索した画像を見せながら、「いいですよ、ささっとで」と。
蛭子さんは、ロボットらしき絵をなんとか描いたが、今度は「デジタル庁」の「デ」の文字が出てこない。「どうやったっけ?」──。
時計を気にする蛭子さんのマネージャー。無表情のままの蛭子さん。
「蛭子さんがテキトーに描けば、どんな絵でも“シュール”や“不条理”の味が出る」と高をくくっていた私。かつて、サイン会での蛭子さんは、サインを希望する人の似顔絵を添えていた。似ているかどうかはともかく、ささっと30秒ほどで書き終え、色紙を手にしたファンを喜ばせていた。
認知症という病が、そんな蛭子さんの才能を奪っていった──。
ところが、2021年秋、人生相談連載の担当編集者・吉田健一がこう口にした。
「やっぱり今こそ“芸術家・蛭子能収”の作品が見たいんです」
青春時代、サブカルチャーの影響を受け、蛭子さんが80~90年代に漫画を描いていた月刊漫画雑誌『ガロ』を愛読していた吉田は、“タレントの蛭子さん”ではなく“漫画家・蛭子能収”を信奉。「できればプロジェクトとして、絵画展ができるぐらい絵を描いてもらいましょう」