2022年4月17日 06:00
無罪訴え94歳になったアヤ子さん支える弁護士 国を許せない思い
判決ではアヤ子さんが主犯、長兄、次兄、次兄の息子の3人は共犯とされた。共犯者3人は控訴もせず、服役。アヤ子さんだけは一度も自白していない。「あたいはやっちょらん!」と、否認し続け、最高裁まで闘ったが、有罪が確定してしまう。
10年の刑期を終えて満期出所したとき、アヤ子さんは63歳になっていた。出所後すぐに自宅へ戻り、夫を問い詰めた。
「なぜ、私に言われてやったと嘘を言ったの?」
「おまえには悪かった。刑事にきつく言われて、仕方なく……」
「あなたもやってないなら、一緒に再審請求をしよう」
夫は首を横に振るだけだった。
「俺はもう裁判なんて大変なことはしたくない」
アヤ子さんは、そんな夫を許すことができず、離婚。夫とはもう一緒に暮らせなかった。出所から5年後の95年4月、アヤ子さんは第一次再審請求に漕ぎつけ、さらに7年かかって、鹿児島地裁で再審開始決定が出た。
しかし、福岡高裁宮崎支部で再審開始決定は取り消され、06年、最高裁で棄却。11年もかかって、結局、振り出しに戻ったのだ。
鴨志田さんが初めてアヤ子さんに会ったのは、このころだ。司法修習を終え、弁護士として正式に再審弁護団に加わった。