2022年5月29日 06:00
ケーキは私の“声”不安症で話せない14歳人気パティシエの挑戦
その基になっているのが、今は中3となり、養護学校に通っているみいちゃんの“こだわり”だと、千里さんは言う。
「場面緘黙症という病気の特性であるこだわりが、お菓子作りに大きく反映されていると思います。みずきは、その日、作りたいと思ったものを作ります。自分の思いを突き詰めて、その感情をケーキに込めているんです。こだわりということでは、近所の農家さんに収穫体験に行ったことがきっかけで、地元産の材料をよく使うようにもなりました」
そこから“みいちゃんの玄米サブレ”などの新商品も生まれた。
リピーターも多く、オープン後に始まったオンラインショップでは6カ月待ちの商品も。
「最初にお話ししたように、みずきはマイペースなうえにこだわるので、どうしても生産量が追いつきません。注文がたまるのは申し訳ないし、赤字も続いています」
ずっと娘を見守るスタンスができていた両親だったが、オープン後の注文殺到を前に、一度はどちらかが仕事を辞めて店の営業日を増やすことなども検討したという。
だが、
「私たち夫婦は、今までどおりにフルタイム勤務を続けて、ケーキの売り上げを生活の基盤にするようなことはしないと決めました」