くらし情報『全盲の弁護士と音楽家の夫婦 子どもたちの笑顔は心に映って』

2022年6月26日 06:00

全盲の弁護士と音楽家の夫婦 子どもたちの笑顔は心に映って

あのころの僕は、失明で人生の可能性をすべてなくしてしまったと思い込んでいたし、自分は他人より劣っているというコンプレックスも抱えたままでしたから。でも、竹下さんのように努力すれば人生は変えられる、そう気付かされたんです」

■子どもに障害があることで、母親が泣きながら謝らなければならない社会は間違ってる

このとき、誠さんは「将来は弁護士になる」と心に誓った。だが、高等部に進み大学受験を目指す彼の前に、分厚い壁が立ちはだかった。

「受験勉強しようにも、点訳された参考書や問題集がないんです」

そこで誠さんは、盲学校の先生や先輩にお願いして、点訳ボランティアを募るところから始めた。膨大な量の参考書を、点字に訳してもらったのだ。受験可能な大学探しも苦労した。当時はまだ多くの大学が、視覚障害者に門戸を閉ざしていた。
「それでも、慶應義塾大学が受験を認めてくれて。
僕は一浪ののち、同大学の法学部に入学できました」

苦難はまだ続く。今度は下宿探しが難航した。

「静岡から上京した母と不動産業者を回りましたが、僕が全盲とわかると、ほとんどの不動産業者から部屋を貸すことを拒まれて。それまで僕の目のことを悲観するような姿を一切、見せなかった母ですが、このときだけは違いました」

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.