2022年6月26日 06:00
目が見えない夫婦の子育て 家族でかけあうたくさんの「ありがとう!」
誠さんはハンディキャップを乗り越え、司法試験に合格。日本の法曹界史上3人目の、全盲の弁護士になった。幼いころからピアノを続けてきた亜矢子さんは、音大を卒業しソプラノ歌手に。弾き語りのミュージシャンとしても活躍。上皇后美智子さまの前で、歌声を披露したこともある。
ふたりは’10年に結婚し子宝にも恵まれた。しかし……。健常者でもたいへんな子育て。
記者は素朴な、でも、不躾な質問を、ついつい、ぶつけてしまった。「目の見えないふたりがどうやって?」と。
「もちろん、できないことや難しいこともあります。でも、そこは割り切ってといいますか、見える人の手を借りながら、ですね。それに、いまでは子どもたちも自分のことは自分でできるようになりましたし、私たちを手助けしてくれる場面も少なくないんですよ」
■震災を機に、本当に大切なものはなにかと考え、長女を「こころ」と命名。’11年3月。東日本大震災で日本中が混乱するなか誕生した長女に、誠さんは「こころ」と名付けた。
「いろんなものが震災で破壊されてしまった世の中で、本当に大切なものはなにかと考え決めました」
さらに1年4カ月後の’12年7月には長男が生まれる。