2022年7月3日 06:00
87歳DJのSumiRockこと純子さん 昼は大人気餃子店、夜は歌舞伎町で客を沸かせる
そんな父が突然、音楽の仕事をやめ、「餃子荘ムロ」を開いた。純子さんは19歳。高校卒業後、英語や英文タイプを習い、商社の秘書として働き始めたころだった。
「店名の『ムロ』は、父の呼び名だったようです。音楽で米軍キャンプ回りをしていたとき、満州帰りの人たちが作る餃子と出合い、自分で皮も餡も開発。手作りするようになっていました。なぜ餃子屋か?父は『芸能事務所では日本一になれないと思ったから』と、話していましたね」
純子さんは、昼は秘書、夜は餃子店の手伝いと多忙になり、1年ほどで餃子店に専念することに。
「仕事は午後1時の仕込みから夜中の1時まで。
ただただ焼きたての餃子を食べてもらいたい一心でした。夜のクラブやディスコなんて存在すら知りませんでした」
年ごろになった娘を心配した両親は、結婚を勧めたが、純子さんは頑として受け付けなかった。
「10代のころから、私は絶対、結婚しないと決めていました。石川達三の小説『幸福の限界』の中に“結婚とは性生活を伴った女中奉公”という一節があって、そんな生活は絶対にイヤだ、と。縁談やお見合いは全部、断っていましたね」
そこで、いたずらっぽくほほ笑んだ。