アフリカに「医」を届ける医師 内戦スーダンの村人たちとの交流秘話
だが、こうした活動の前に立ちはだかったのが、突如、勃発した内戦だ。
■内戦が落ち着けば、戻るつもりだ。スーダンと日本の架け橋となる
激しい爆発音。突然起こった戦闘によって、平穏だった生活が奪われたのだ。
30時間かけて首都から地方の空港にたどりつき、九死に一生を得て、日本に帰ってきたが、現地の情勢はいまだ不安定だ。
「いらっしゃいませ!先生、ご無事でよかったですね」
5月下旬、川原夫妻が向かったのはなじみの和食店。緊急脱出後、初めての来店だったため、店主たちが無事を喜んでくれた。
命からがら脱出したのだから少し休んでもよさそうなものだが、川原は帰国後も「ほぼ無休」だ。
1週間のうちに、東京で講演したかと思えば、長崎の会合に出席し、東京に舞い戻り、沖縄を経由して福岡に戻るといったハードスケジュール。仕事先ではマネージャーとして、可能な限り佳代さんが同行している。
「私はスーダンの政情が安定するまで好きな酒を断っているので、会合などでは代わりに女房に酒を飲んでもらっているんです」
冗談を言うが、離れた時間が長かった分、一緒の時間を大事にしたいとも考えているはずだ。
とくに、佳代さんも心配しているのは健康面。