ハイブリッド弁護士のお悩み相談「事故物件の告知義務はどこまで?」

2017年11月20日 06:00
 

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本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「経営しているアパートで、お年寄りが孤独死。発見が遅れ、いわゆる“事故物件”になりました。事故のあとに1人でも住めば告知義務がなくなる“業界ルール”で、アルバイトを1カ月間、その部屋に住まわせています。その後は家賃も下げず、事故の件も明かさずに募集をするつもりですが、法的にOKですよね?」(60代男性・賃貸物件オーナー)

 

【回答】「そんな小手先の対策を取らず、正直に告知してはいかが?それが、貴方のためです」(仲岡しゅん

 

今回は、巷で話題になっている「事故物件」についてのご相談。いわゆる「事故物件」を法的な言い方で表現しますと、「心理的瑕疵がある物件」となります。では、「心理的瑕疵」とは何でしょうか。

 

一般の方にはなじみの薄い「瑕疵」という言葉は、そのモノが本来備えているべき機能や品質を備えていないことをいいます。平たく言えば、「欠陥」です。そして、欠陥には、キズや破損といった物理的なもの以外にも、心理的なものがあるのです。

 

不動産の場合、たとえば、そこで過去に殺人事件や自殺があったケース。あるいは孤独死で発見が遅れたケースもこれに当たる可能性があります。こういった場合、その物件に物理的には問題がなくても、人によっては居住することに心理的な抵抗感という意味での「欠陥」があるため、「心理的瑕疵がある物件」となるわけです。

 

そして、心理的瑕疵がある場合には、信義則上、告知義務が生じます。ですから、今回の貴方の場合、告知をしないといけません。

 

では次に、「いったいいつまで告知せなアカンの?」というところですが、これが難しい問題なのです。1カ月前の出来事なら、通常、告知義務がありますわね。では10年前の出来事ならどうか。100年前の出来事ならどうなるか。そう考えていくと、明確な区切りがつけられないのがわかるでしょう?

 

そう考えると、「事故物件」として告知義務が生じるといえるかどうかは、けっこう曖昧なものなんですのよ。明確な基準がない以上、事件の記憶が色濃い場合には告知義務あり、くらいのことしか言えないんですね。裁判例を見てみますと、これは売買のケースですが、4年前に火災死亡事故があったケースや、1年数カ月前に自殺があったケースなどで、告知義務ありという判決が出ています。

 

ですから、たとえ1カ月間アルバイトを住まわせたとしても、「絶対に告知義務がなくなる」というわけではないんです。あとでバレたときに生じる問題を考えれば、そんな小手先の対策を取らず、正直に告知してはいかが?お気の毒とは思いますけれども、結局のところ……。それが、貴方のためですわ。

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