予防医学でも注目される「長寿」と「住まい」の深い関係
大きな地震が起こるたびに構造的には強くなっていますが、東日本大震災の際に原発が停止したことで変化が生まれました」
こう語るのは、健康寿命と住まいの関係を特集した建築専門誌『建築知識』の三輪浩之編集長。震災を機に省エネルギー化が提唱され、断熱性能の強化や省エネ機器の導入が一気に進んだという。
「’11年以降、日本の家の性能は、“耐久性”だけでなく、“快適性”の部分でもかなり上がったと思います」(三輪さん・以下同)
とはいえ、震災を機に変化が見えたのは、まだまだ住宅のハードの部分だけだったが、ここ数年、住宅を取り巻く環境はさらに大きく変わりつつあると三輪さんは指摘する。
「世の中にはさまざまな健康法があるのに、衣食住の中で住に関してだけが、これまで着目されませんでした。でも、じつは家の中で起きる事故の件数は交通事故よりもはるかに多い。高齢化による医療費や介護費の増加を考えても、家でどう元気に暮らすかは大きなテーマです。そうした観点から、住宅の性能だけでなく、そこに暮らす人の健康に目が向けられるようになってきたのでしょう」