2018年3月31日 11:00
「なぜ薬は飲みにくい?」龍角散初の女性役員の原点は薬剤師時代
開発した製品が、ことごとく否定され、嫌気がさして、転職を決意。別会社の内定をもらって、役員室に行ったこともあった。
「辞めさせてもらいます!」
福居さんの大きな声に、隣室から出てきて「私は1カ月後に社長になる。一緒に改革をしよう。一度、思う存分やってみてから辞めても、遅くはないよ」と、慰留したのが現社長の藤井隆太さんだ。
’95年10月、社長に就任した藤井さんを中心に、上司と福居さんの3人で改革チームが結成された。「もう龍角散だけでは生き残っていけない」と危機感を募らせる改革チームは、保守的な古参役員の反発を尻目に、新製品の開発を推し進めていった。
服薬補助ゼリーの開発を始めたのは、’97年ごろからだ。
「薬局で買って、その場で服用できるように、薬と一緒にパックされた水を開発してほしい」という営業からの要望がきっかけだった。そのとき思い浮かんだのは臨床薬剤師時代の経験だ。水では薬が飲めない患者さんを大勢、見てきた福居さんは、「ゼリーで包む」という画期的なアイデアを思いつく。
服薬補助ゼリーの試作品を作って、経営会議に提出した。