2018年3月31日 16:00
突然の左遷を好機へと変えた「服薬補助のゼリー」女性開発者
社長自ら、他社に声をかけ、「福居のことを頼みます」と、頭を下げてくれていた。そんな社長の計らいで「うちの会社に」という誘いもあったが、断った。
「私自身、自信がなかったんです。誰に聞いても、左遷された理由はわからないままです。もし、私が原因で引き起こしたことなら、別の会社に移っても、また、同じことを繰り返すだけですから」
それまで脇目もふらずに突き進んできた福居さんが、初めて立ち止まった日々だった。
「そのとき、いろんな人が心配して、わざわざ千葉の工場に来てくれたんですよね」
それは、左遷前、二十数種類もの新製品を開発するなかで出会った取引先や社外の仲間たちだった。
「私との面会を許されず、上司に『おまえ、それでも人間か』と怒ってくれた人。終業時間になって、私が出てくるまで、待っていてくれる人もいました」
自分を信じてくれる人たちに支えられ、福居さんは少しずつ、前を向く。
「考えてみれば、自由な時間はたっぷりあるんです」
これまでできなかった2つのことを始めることにした。