2022年3月9日 12:00
思春期の“複雑さ”を描く。監督&プロデューサーが語るピクサー最新作『私ときどきレッサーパンダ』
世界の終わりでも、命の危機でもない。でも、この設定に監督はこだわった。
「主人公はものすごいリスクのあることをゴールにしているわけではないんです。でも、13歳の女の子にとってライブに行くのは生死がかかっているようなものですよね(笑)。行けなかったらそれこそ世界の終わり。あの年頃だとすべてがとても大きく感じる、あの感じをより掘り下げたかった。観客にもこのコンサートに行けるかが生死に関わるぐらい大きいものだと感じて欲しかったんです」
誰もが若い頃にはコンサートや友達との約束、放課後の予定に“命をかける”ぐらいの意気込みを感じたことがあるのではないだろうか? ピクサー作品はスケールの大きな物語を描く一方で、誰もが感じたことのある“個人の中の小さくも重要な感情”をしっかりと描いてきたが、本作も思春期を迎えた主人公の心の動きを余すところなく描いていく。
それはピクサーのCOO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)を務めるピート・ドクターが『モンスターズ・インク』や『インサイド・ヘッド』で描いてきたことだ。
「ピートとドミーのスタイルは似ていると思います」とコリンズは分析する。
「だから、本作でドミーがピクサーがこれまで挑戦してこなかった様式化されたアニメーションを描くことにピートはワクワクしていたと思いますよ。