ケラリーノ・サンドロヴィッチ KERA meets CHEKHOV最終章『桜の園』は非常に“真っ当”な作品に
近年のチェーホフ上演って「いかに壊すか」みたいなものが多いように感じますけど、あくまで僕はオーソドックスに。だから壊そうとも、引き寄せようともせず、なるべくチェーホフと握手が出来るようなものを書いたつもり。ある意味、新劇的と言ってもいいかもしれませんね。自分の上演歴の中にあっては非常に真っ当というか、ザ・演劇みたいなものにはなると思います。岸田國士の戯曲をやった時もそうですが、「岸田國士なのに」みたいなことはあまり考えない。それよりも「岸田國士だから」、「チェーホフだから」といった考え方。
――『桜の園』についてチェーホフは“喜劇”と謳っています。その喜劇性についてKERAさんはどう考えていますか?
KERA meets CHEKHOV『桜の園』ビジュアル
チェーホフは、ことさら悲劇的に上演されることを回避したくて、予防線を張っただけなんじゃないかと思うんですけどね。
どうなんでしょうね。一方で、必死に笑わそうと腐心している上演を観ると、ちょっと辛いなと思うんです。だってクスクス以上の、爆笑に次ぐ爆笑みたいなものにはなり得ない戯曲ですよこれは。そういう意味で言えば喜劇ではないのかなと。