くらし情報『ケラリーノ・サンドロヴィッチ KERA meets CHEKHOV最終章『桜の園』は非常に“真っ当”な作品に』

ケラリーノ・サンドロヴィッチ KERA meets CHEKHOV最終章『桜の園』は非常に“真っ当”な作品に

ただ構造だけ見ると、「このままじゃ桜の園が売れちゃうよ」と散々言われつつも、聞く耳を持たないラネーフスカヤと兄のガーエフが、結局なんの策も練らないままに桜の園が売られてしまうって話。その極端な愚かさは、これまで僕が書いてきたナンセンスに極めて近いものがあって。そういう点では喜劇的な構造だなと思います。

完全無欠な天海祐希に、極めてダメな人を演じてもらう面白さ

――現在、どんなことを意識して稽古を進められていますか?

先ほども言ったように、チェーホフの台詞は字面通りの意味ではほとんど捉えられないですから、「状態」や「そこに漂う空気」を探るために、本読みにはいつもより時間をかけるようにしています。チェーホフをやる時はいつもそうですね。今回で言えば三日半本読みをやって立ち稽古に入り、一幕から固めていって、最後までいったら急ぎ足でなんとかもう一周して通し、みたいな感じ。みんなで考えながら作っています。そういえば昨日山中(崇)が、宇野重吉さんの「チェーホフの『桜の園』について」という、『桜の園』をやる人間にとってはバイブルみたいな本を持っていたんです。
そうしたら半分ぐらいの人が持っていて。その日に代役で呼ばれていた人まで読んでいた。

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