ケラリーノ・サンドロヴィッチ KERA meets CHEKHOV最終章『桜の園』は非常に“真っ当”な作品に
僕も2020年の公演(※緊急事態宣言により全公演中止)の時はもっと勉強していて、同じ本を持ち歩いていました。でも中止のショックでもう見たくないと思って片づけたら、どこに置いたのかわからなくなってしまって(笑)。だからってわけでもないですが、今回は過去のデータを探ったり、ほかの人の解釈を参考にしたり、そういった根掘り葉掘りみたいなことはあまりせずに稽古を進めようと思っています。
――桜の園の女主人・ラネーフスカヤを演じるのが、今お話に挙がった天海さんですね。
天海さんは隙のない、完全無欠に近い人を演じることが多いと思うんです。ところが今回演じてもらうラネーフスカヤは極めてダメな人で(笑)、弱くて悠長で、うまく生きられない人間を天海さんにやってもらう面白さはあると思います。本読み初日に話したのは、声のトーンについて。もともと低音でしゃべることが多い方ですから、肝心な台詞とかは、そういう発声のほうが気持ちは乗せやすいと思うんです。
でもそこをあえて低音ばかりでやらず、高音も駆使してもらいたいなと。なるべく広い声域を使って台詞を発して欲しいと伝えました。
KERA meets CHEKHOV『桜の園』キャスト。