くらし情報『誰もが戦争の犠牲者である―ミュージカル『マタ・ハリ』観劇レポート』

2021年6月21日 12:00

誰もが戦争の犠牲者である―ミュージカル『マタ・ハリ』観劇レポート

死後百年たってもその名はセンセーショナルな響きをもって伝えられているマタ・ハリだが、このミュージカルでは、彼女の育った背景を繊細に掬いあげ、戦時下に生きたひとりの女性としての素顔を描きだしたところに魅力がある。ダンサーとして賞賛の声を一身に受ける一方で、不幸な過去から負った心の傷を常に抱えた女性。それでも自分の人生を自分で切り開こうとする意志の強さ。そこには人間的魅力と確かな肉体を持ったマタ・ハリがいる。

誰もが戦争の犠牲者である―ミュージカル『マタ・ハリ』観劇レポート

マタ・ハリ役(Wキャスト):柚希礼音撮影:岡千里
そのマタ・ハリを演じるのは柚希礼音と愛希れいか。ふたりとも宝塚在籍時から名ダンサーとして知られていたスターであり、美貌のダンサーはハマり役。柚希は初演から続投、3年前は“元男役スター”のイメージを払拭した少女らしい瑞々しさが印象に残ったが、今回は強く気高いマタ・ハリだ。ダンスシーンでのスターオーラとあふれ出る色気は観るものを捕えて離さず、まさに“完全なるマタ”だと唸らされる。


誰もが戦争の犠牲者である―ミュージカル『マタ・ハリ』観劇レポート

マタハリ役(Wキャスト):愛希れいか撮影:岡千里
一方で、恋人・アルマンとのシーンで見せる穏やかな顔や、緊迫感溢れるスパイシーンなど、すべての局面の心情描写が丁寧で、観ていても自然とマタに感情移入してしまう。

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