「今作にかかわったみんなもそうだが、私も黒澤と彼(志村喬)には敬意を表したかった」と語った。ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが、アメリカ、カナダを含む数カ国の配給権を獲得している。
もう1本は、ブラッドリー・ラスト・グレイ監督の『blood』。夫を失った白人女性が友人のいる日本を訪れ、心を癒していくという物語だ。
主人公の女性クロエを演じるのは、スイス人女優カーラ・ユーリ。日本人の友人トシには、ミュージシャンの植野隆司が大抜擢された。グレイ監督によれば、「有名な俳優も何人か検討したがしっくりこなかったところへ、誰かがYouTubeの動画を送ってくれて植野を知った」とのことだ。トシ家として登場するのは、植野が実際に住む家で、「僕らは彼の家を乗っ取った感じ(笑)。
そして彼をひたすら追いかけて撮影しただけだ」とも、グレイ監督。その自然な撮影のしかたについては、ユーリも「カメラがあることも感じなかった。お互いと一緒にそこにいるだけだったわ」と述べている。そんな植野は、ヴァーチャル会見で「また演技をしたいですか?」と聞かれると、「どうなんだろうね?」と日本語で言って笑った。だが、「でも、very enjoy!」と、この体験がとても楽しかったことを明かしている。
文=猿渡由紀
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