S.A.R. 全力でブチ上がって出し切った、ワンマンライブ『Return of Kool Theory』をレポート
では、福岡出身の女性シンガーソングライターLil Summerが登場。しなやかな官能性をたたえた歌声を響かせ、ライブ全体に深みを与える。スタンダード感と現代性を同時に感じさせるアレンジ、洒脱なギターソロも素晴らしい。そして、ライブ中盤でもっとも印象的だったのは12月11日にリリースされた最新曲「juice」。抑制が効いたリズム・アレンジ、ギターと鍵盤の洗練されたフレージング、親しみやすいメロディが共存したこの曲は、普段J-POPに馴染んでいる幅広いリスナーにも訴求できそうだ。
「最高だって人、手を挙げて! 後半戦も楽しんでくれ」(Imu Sam)という言葉から、ライブは後半へ。アルバム『Verse of the Koo』の収録曲「pool」「Kaminari」には即興的なフレーズも取り入れられ、ライブでしか味わえない濃密なグルーヴへと結びついていく。ラストチューン「Cannonball(feat. 寺久保伶矢)」には気鋭のトランペット・プレイヤー、寺久保伶矢も参加。
熱を帯びたS.A.R.の演奏にエフェクトしたトランペットが共鳴しーーエレクトリック・マイルスを想起させるーーライブの興奮はピークへと達した。