“ノーマル”じゃなくてもいい。生きるヒントをもらえる作品 ミュージカル『next to normal』
の診察を受けて、たくさんの精神薬を処方される。ひとまず容態は落ち着くが、ナタリーと大学の級友ヘンリーがイチャイチャしているのを目撃し、薬物療法によって感情や痛みが失われていることに気づく。感情と共にイキイキと自由に走り回る、そんな自分を取り戻すためにダイアナは薬を捨ててしまう。ここで歌われるダイアナのソロ「I Miss the Mountains」は希望に満ちた名バラードだ。このメロディーの美しさ、爽やかさにうっとりしてしまうが、ダイアナの選択を考えるとこれはいびつなハイでしかないのかもしれない。こうして、この作品は時折、観る者を混乱させ、これでいいのかと疑わせながら展開する。その戸惑いは、まるでダイアナが彷徨う世界のようだ。
ヘンリーと一家は食事を共にすることになり、5人は賑やかに食卓を囲む。
ダイアナは料理に腕を振るう。温かく平和な理想の家族のはずだった。ダイアナが火を灯したバースデーケーキを運んでくるまでは。
ダイアナの病状は深刻化し、新たにドクター・マッデンの治療を受けることになる。このドクター・マッデン、登場からメタルロックのアーティストさながらにシャウト!ああ、そうか。もしかしてこれはダイアナの視点なのか?と、再び疑似体験している気分に。