2020年1月21日 00:00
チャリT企画が代表作『それは秘密です。』を6年ぶりに再演
劇団チャリT企画『それは秘密です。』初演(2014年)より 撮影:鈴木淳
誰にだって「秘密」はある。どんなに長年連れ添った相手でも、自分から見えている部分はその人間の一面に過ぎず、それが本性とは限らない。そうした人間関係の脆さや得体の知れなさを笑いに変えていくところに、作・演出の楢原 拓のウィットを感じる。
「社会派」と聞くと堅苦しいイメージが湧いてくるけれど、そこに「ふざけた」とつくのがチャリT企画の妙味。飛び交うユーモラスなやりとりにゲラゲラと笑っているうちに、自然と劇世界に惹きこまれていることだろう。
そうやってお腹を抱えているところで、ふと喉元に刃を突き立てられるから、この作品は面白い。本作が初めて上演されたのは2014年。
特定秘密保護法が施行された年だ。当時はこの法律をめぐって盛んに議論が繰り広げられたが、今やすっかり国民の関心は失われた。しかしあれから6年経って、世界をめぐる情勢はますます混沌としている。そんな今だからこそ、もう一度、本作を観て大いに笑おう。そして、衝撃のラストに打ちのめされてみるのもいいかもしれない。
劇団チャリT企画『それは秘密です。』は1月23日(木)から30日(日)まで東京の座・高円寺1にて上演。
文:横川良明
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