尾上右近が語る『ライオン・キング:ムファサ』「吹替えのお仕事は歌舞伎と似ている」
だったら、そんな焦らなくても大丈夫かもしれない』と少しホッとしたり、自分の励みになることがあります。
本作の物語を観ていると、その感覚と少し似たものを感じるんです。ムファサもいきなり王として生まれてきたわけではなく、孤児になってしまったムファサがいろんな経験をして、最終的には僕たちが知っているあの“王であるムファサ”になっていく。興味深いのは、ムファサには出世欲はないのに、周囲が彼の行動を見て『ムファサを王に』と思うようになることです」
尾上右近の考える“王の条件”
実際の収録では通常の映画撮影とは違い、すでに存在している映像、キャラクターの表情や動きを観て、決められた秒数で演技をしなければならない。
「画面から影響を受けて演じないと、その気持ちにコミットできないですし、キャラクターに寄り添えません。でも収録では画面に常に数字(タイムコード)が出ていますから、どうしても数字に目がいってしまう(笑)。最初は慣れなくて、画面を観る余裕がなくて苦戦しましたね。でも、慣れてからは、キャラクターを観る、画面を観ることで気持ちがちゃんと向かっていく。
それができるようになると楽しいですし、自分なりにですが、掴めた感覚はありました」