2022年1月7日 07:00
「この映像は心を動かされます」樋口真嗣が語る『サンダーバード55/GOGO』
と樋口氏は説明する。
「メイキングを見ていただくとわかると思うんですけど、『サンダーバード』のセットは驚くほど狭いんです。横幅はあるんですけど、前後というか奥行きがなくて、絵を空に見立てるホリゾントからカメラの位置までがほとんどない。被写界深度といって、カメラのピントの合う範囲がそれほど広くないので、奥行きがあればあるほど画はボケてきてしまう。日本の場合だと前後の動きを作りたいので大きなセットを組んで、とんでもない量のライトをあてることで絞りを調整しているんですけど、イギリスの場合だと可能な限りピントの合う範囲でセット作る。そういう制約の中でできることをやるのがイギリスの特撮のスタイルで、この映画でもそれをちゃんと再現しているのはすごいと思いました。
これは“こだわり”とかではなくて愛というか……これが大好き過ぎるんでしょうね(笑)。これまでも何回か『サンダーバード』をやろうと実写映画になったり、CGのアニメになってきたわけですけど、やっぱり『違うな』と思ってしまう。
オリジナルの持っている破壊力というか、『サンダーバード』は我々の好きな映画の常識とは少し違うところにあるものだと思うんです。