4年ぶりの再演『天保十二年のシェイクスピア』 熱い思いの溢れる公開稽古&囲み会見レポート
女たちをキャーキャー言わせるのも納得の華やかなモテ男っぷりだ。軽快な音楽にのせて歌い踊る男性陣、女性陣のダンスも楽しい。しかしそんな王次に三世次の策略の手が伸びる。三世次は、王次の父親である紋太そっくりの百姓に亡霊を演じてもらい、自分は花平一家に殺されたのではない、実の弟と自分の妻・お文に殺されたのだと告白させ、復讐をけしかけるのだ。このあたりはまさに『ハムレット』なのだが、紋太似の百姓役の阿部裕と浦井のコミカルなやりとりなどに、井上ひさしらしい遊びが見てとれる。3階まで使った演出も大迫力だ。
最後に11場「賭場のボサノバ」、12場「時よとまれ、君はややこしい」とふたつの場面を続けて披露。前半は「両家とも火種はあるものの、生活はしなければいけないので、旅籠や女郎宿、賭場という日常の仕事に戻っている。その日常を描いています」と藤田。
3階建てのセットの中、1階では主の九郎治(阿部)、その妻お文(瀬奈じゅん)の姿が。そして2階では賭場が開かれている。
“賭場の場”を“ボサノバ”とかけたこのシーンは何と言っても宮川彬良による音楽が印象的!
新川將人の渋い壺振りや「丁か半か」