くらし情報『彼らもまた“誰かの子ども”である。是枝裕和監督が語る『ベイビー・ブローカー』』

2022年6月27日 12:00

彼らもまた“誰かの子ども”である。是枝裕和監督が語る『ベイビー・ブローカー』

しかし、赤ん坊を受け取ったのは、クリーニング店を営むサンヒョンと、児童養護施設で育ったドンスで、ふたりは赤ん坊を売る“ベイビー・ブローカー”だった。

翌日、思い直して戻ってきたソヨンは赤ん坊がいないことから警察に通報しようとするが、サンヒョンとドンスは「赤ちゃんを育ててくれる家族を見つけようとしている」と嘘をつき、3人と赤ん坊は“新しい親”を探す旅に出る。

「最初に書いたプロットは完成した映画よりも少しシンプルなものでした」と是枝監督は振り返る。「赤ん坊を横流ししようとしているニセ神父と、それを手伝っている青年、ふたりと一緒に旅をする母親の話で、言ってみれば完成した映画の“表側”の話。つまり、3人が旅を通じて擬似家族になっていく話です」

さらに是枝監督は創作の過程で、3人を追う刑事の物語を膨らませていった。完成した映画では彼らを検挙するためにふたりの女性刑事が彼らの旅に伴走する。赤ん坊を捨てることに怒りを感じている刑事スジンは、彼らを追う過程で変化を遂げていく。赤ん坊をポストに預けた女性ソヨン、そのことが許せない刑事スジン、ふたりの女性の変化が本作のもうひとつの物語になった。


「書いていくうちに……こうなったんですよね。

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