セカンドステージに突入した尾上右近、今年も純粋な「やりたい」を詰め込んだ「研の會」

(撮影:石阪大輔)
たしかな技術と歌舞伎への情熱で次世代を牽引する尾上右近。彼が毎年夏に開催している自主公演「研の會」が今年も上演される。今年は右近が「かけがえのない仲間」と呼ぶ同い年の盟友・中村種之助とガッツリ組む2演目をセレクト。40年ぶりに上演される『盲目の弟』と、舞踊劇『弥生の花浅草祭』を届ける。この演目にかける思い、同期・種之助への思いをたっぷり語ってもらった。また、もともと「大歌舞伎ではできない役に挑戦したい」という思いで始めた「研の會」だが、近年は次々と大役を勤め、歌舞伎座などの大舞台でも真ん中に立つことが珍しくなくなってきた今、右近にとって「研の會」はどういう存在になっているのか――。彼を取り巻く環境を聞くうちに、右近の歌舞伎に対する純粋な愛情が垣間見えてきた。
「首の皮一枚」で繋がっている公演
――右近さんの自主公演である「研の會」も9回目。
年々規模が大きくなり、前回は初の大阪公演もありましたね。まずは前回の振り返りからお伺いします。
「研の會」は僕の思いが先行し、後から形がついてくるような公演で、常に首の皮一枚で繋がっているものです(笑)。その皮がだんだん分厚くなっていくだけで、首の皮は“一枚”であるのは変わりないなということを実感しました。