2022年5月20日 07:00
「アニメに興味がない人にも観てもらいたい」『ハケンアニメ!』監督が作品にこめた想い
「劇中のアニメを登場させる時は“広がり”を見せなければならないので、意図的に完成した映像だけではなくて、絵コンテの段階で見せておいたり、テレビ越しに見せたりすることで、“物語の世界の中の作品”という表現をしています。撮影している段階では、どんなアニメーションがあがってくるのかわからなかった部分もあり、あれこれ準備を進めていたんですけど、その心配が結果としてうまく機能したところもあったと思います。
映画の中では、そのキャラクターが美男や美女かどうかは、周囲の人のリアクションだったり、振り向いたりする様子によってわかるわけですよね? だからどんなに美形の役者さんでも“可愛くない”役ができる。『ハケンアニメ!』でも劇中アニメが登場する時には、視聴者のSNSでの反応も含め、さまざまな方法でそれを観ている人、周囲にいる人の反応とセットにして「どう受け取られているアニメなのか」を描くようにしています」
おそらく本作を観た観客は劇中に登場するアニメーションを観たくなるはずだが、それは“作品を観て反応する人”が前後にしっかりと描かれているからだ。
「僕は車にはまったく興味がないんですけど『フォードvsフェラーリ』を観ると、前半に車をつくっている人のドラマが丁寧に描かれていて、クライマックスは車が走ってる描写と、それを見守っている人たち、そこまでに積み上げていった感情が描かれていて、車に興味のない僕でも楽しめたんです。