2021年3月6日 12:00
岸谷五朗「ブロードウェイを“超える”」 ミュージカル『The PROM』に懸けた思い
10作品ぐらい観たのですが、劇場を去るときに、お客さんが一番幸せそうな顔をしている作品が、この『The PROM』でした。
なかなかない作品だと思うんです。ハイスクールのレズビアンの女の子たちが、いろいろな葛藤をしながら、必死にプロム(※アメリカの高校で卒業生たちのために開かれるダンスパーティーのこと)を作っていくというお話なのだけど、そのストーリーを運んでいるのが、ブロードウェイスターの大人たちなんだよね。
その構造がすごくおもしろい。普通の学園ものになるかと思いきや、大人たちが自分たちの誇りや名誉のために、無理に割り込んでいく。それでどんどん心が変わっていって、純粋になっていく……。
作品を最初に観たときに、地球ゴージャスに合いそうだなと思って。挑戦したいと思ったんです。
人を受け入れて生きていく、アクセプト(受容)していくということ
――ご自身、バリー・グリックマン役だなと。
あの中では俺がバリーでしょうね。寺脇さんがトレント。そこはぴったりだなと思って。なかなかそういうミュージカルに出会うことが少ないんです。
例えば『キンキーブーツ』のときも、絶対日本でやりたいと思って、日本版の脚本と演出を担当させてもらったけれど、あの作品を地球ゴージャスでやろうと思わないし、別のプロジェクトでやるべきだなと思っていた。