くらし情報『岡田利規×片桐はいり対談 能・音楽・ダンスが融合した『未練の幽霊と怪物』は「すごいエンタメ!」』

2021年5月20日 07:00

岡田利規×片桐はいり対談 能・音楽・ダンスが融合した『未練の幽霊と怪物』は「すごいエンタメ!」

がシテと出会った際に、相手に対して何を感じているかみたいなリアクションは、能においては不要だという話をしたんですよね。なぜ不要かというと、ワキは観客(の想い)が映っている鏡だから、と。

片桐私はそれを、ふだんの演技を見る時に応用して考えてしまっているだけなんですけども、「鏡みたいになれたらいいのにな」と思ったんです。だっていま日常で目にしている演技は、あまりにも雑味が多いから。

私は子どもの頃、役者というのは役になり切って、まるで別人になっちゃうすごい体験に違いないと思っていたんです。でも実際にやってみたら、まるで何も起こらなくて「何このつまんない仕事」って思ったとこから始まる演劇人生なので(笑)、憑依的な演技とは無縁なんです。まあこれは、塩味と甘味どっちが好きか、くらいの好みの問題でしょうけど、私としては能の話や岡田さんの話を聞くと、「そうそう、そっちの味が好き!」と傾きがちになりますね。

岡田利規×片桐はいり対談  能・音楽・ダンスが融合した『未練の幽霊と怪物』は「すごいエンタメ!」

能の政治性をアイに託す

岡田能は美的な形式性が高いから、テキストは逆にポリティカルというか、ストレートに語られていてバランスが取れてる、と僕は思っているんです。
幽霊自体もポリティカルな存在なので、政治的な作品を作るのに能の形式は打ってつけだと思うんですが、とはいえ、いちばんストレートな部分をシテが担うのはあまり得策じゃないと思って、今回はアイにやってもらうことにしました。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.