2020年1月26日 00:00
呪われた企画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』を実現させたのは、監督の“熱い想い”
当時ロケ地となった村が近いことを知ったトビーはバイクを飛ばすが、その映画のせいで村の人々は変わり果てていた。ドン・キホーテを演じた靴職人の老人は、自分が本物の騎士だと、本当に信じ込み、清楚な少女だったアンジェリカは女優になると村を飛び出していたのだ。トビーのことを忠実な従者サンチョだと思い込んだ老人は、無理やりトビーを引き連れて、大冒険の旅へと出発する。
本作で描かれる、まさにドン・キホーテのような老人の妄想を通して描かれるのは、イマジネーションが持つ力だ。自分を騎士だと信じて突き進むその姿は、大勢の人々にとっては滑稽なものに違いない。だが、それを手放してしまった先には何があるというのか。苦しい現実の中、人間というものは多かれ少なかれ、どこかで創造力を持っていなければ生きていけないのではないか。
そんな本作の内容を見れば、30年もの年月を経て、本作を撮りあげたテリー・ギリアム監督の執念というのは、彼自身の熱い想いと、映画作りの哲学が濃く反映していたからだということが分かるのだ。
『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』
公開中
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