菅田将暉が考える心のケア「“他人だからできること”がきっとある」

(撮影/梁瀬玉実)
菅田将暉ほど代表作の多い俳優も珍しい。
卒業を目前に控えた生徒たちを教室に閉じ込める教師を思い浮かべる者もいれば、やたらとしゃべり続けるもじゃもじゃ頭の大学生を挙げる者もいるだろう。
あるいは、仕事に忙殺されるあまり、ただパズルゲームに興じる若者をイメージする者や、万能感に包まれた金髪の高校生が忘れられない者も、きっといる。
菅田将暉を知る人の数だけ、いろんな菅田将暉が刻まれている。きっとこの『サンセット・サンライズ』もまた菅田将暉の新たな代表作となるはずだ。
演じたのは、4LDKで家賃6万円という破格の条件に釣られ、三陸へと移住してきた東京のサラリーマン・晋作。三陸の絶品料理に目を輝かせ、仕事の合間に釣りに興じる。どこまでもお気楽で、どこまでも普通な晋作に、気づけば心がほぐれている。
「誰でも観られる映画」を目指したという本作に、菅田はどんな想いを込めて臨んだのだろうか。
絵を通して育んだ晋作という人物像
燦然たるキャリアを誇る菅田将暉のフィルモグラフィーの中でも、とりわけ大きな作品の一つが『あゝ、荒野』だろう。半年に及ぶトレーニングを経て臨んだボクシングシーンが観客の魂を揺さぶり、多くの俳優賞に輝いた。