撮影/友野雄
この世に才能なんてものがあるから、人は苦しむのかもしれない。
5月20日(金)公開の映画『ハケンアニメ!』は、アニメ業界で闘う者たちを描いた熱血エンタテインメント。その中で中村倫也は天才監督・王子千晴を演じている。
ものづくりに情熱を注ぐ人々の奮闘に胸が熱くなると同時に、己と才能という最も直視したくないものと限界まで向き合うさまは、どこか凄絶ですらある。
天才を演じた中村倫也は、才能というものについてどう考えているのだろうか。
自分を超える作業は、魂を雑巾絞りするようなもの
初監督作品『光のヨスガ』で社会現象を巻き起こし、一躍時代の寵児となった王子千晴。普段の飄々とした態度は、まさに天才そのもの。だが、その内側にはゼロからものを生み出すことへのプレッシャーと焦燥が渦巻いていた。
「僕と王子とでは置かれている状況のレベルが違いますけど、僕もエッセイを書いている中で『出ないなあ』というのは何度もあったので、そのへんの生み出す人の焦りはわかる部分もありました。そういう自分を超える作業って孤独だし、魂を雑巾絞りするようなものですからね」
部屋で大量の紙に埋もれながら、己の才能とひとり格闘する王子。