2020年1月24日 07:30
観客をねじ伏せる圧倒的ラストシーンは必見 『デスノート THE MUSICAL』ゲネプロレポ ート
そんな若手たちの活躍を、夜神総一郎 役の今井清隆がしっかり引き締めるなどベテラン陣の配役も抜かりがない。特に死神・リューク 役の横田栄司は、この作品のもうひとつの顔となる存在。繰り広げられる殺戮を嬉々と眺め、月に茶々を入れるさまは道化そのもの。場面転換の際に、月の部屋を自らロープで引っ張るようなマイムを入れたり、演じる横田栄司も自由自在な演技で笑いを誘った。そんなコミカルさが愉快であればあるほど、死神としての顔も際立つ。実力者・横田の真価を十分に堪能できる演技に注目してほしい。
そして何より驚きだったのが、もうひとりの死神・レム 役のパク・ヘナだ。日本ではまだ馴染みのない名前かもしれないが、韓国ミュージカル界では歌姫と称される人気女優。
『アナと雪の女王』のエルサ役の韓国版ボイスキャスト(歌担当)を務めたことからも、人気と実力が窺い知れる。韓国版『デスノート THE MUSICAL』でもレム 役を演じたパク・ヘナがその力量を認められ、日本へ上陸。会心の歌声を披露した。
彼女の歌の特筆すべき点は、レムに内包する愛と悲しみが歌声だけでありありと観客に伝わってくるところ。このレムという役自身が死神の宿命を背負いながら愛に生きた、ある意味どの登場人物よりも人間らしいキャラクターなのだが、パク・ヘナの繊細な歌声によって一層愛すべきものに。