物語は、この電気工事会社の社長が入院するところから始まる。田舎の小さな会社。独特のノリがあり、人間関係も濃く、閉塞感もある。そんな会社で、人望の厚かった社長がいなくなり、しかもその理由は社内の一部しか把握していない。トップの不在によって、社内には亀裂が生じてしまう。上層部と現場の考え方の違い。大事なことを知らされていない現場の人間たちの怒りと悲しみ。それが、ある行動に結びつく。
瓜生和成をはじめとする役者たちが、初演や再演よりも年齢を重ねた分、リアリティを増した演技で、地方で暮らす人々の日々を演じていく。
小さなコミュニティの中の、中高年にとっては覚えのある、若い世代にとっては新鮮な関係性。言葉では表しきれない苛立ち、後ろめたさ。そういった複雑な感情が、研ぎ澄まされた会話によって描き出される。その、普段は覗けない閉ざされた空間に漂う、独特の空気そのものを味わうような感覚で、彼らの代表作を味わいたい。文:釣木文恵
「人が人を想う気持ちは変わらず大切にしたい」開幕コメント&最新舞台写真到着!

小松台東『デンギョー!』2024年公演より(撮影:向殿政高)
主宰・松本哲也コメント
初演は2013年。