猛暑で試合をする高校野球…熱中症で選手が倒れたら誰が責任を取る?
その義務を怠ったために熱中症などの事故が発生したといえるような場合には、民事上の損害賠償責任(民法415条、同709条など)、あるいは刑事上の責任(刑法211条「業務上過失致傷罪」)を負う可能性がありますし、実際にマラソン大会の事例では、主催者である地方公共団体などの側に損害賠償を求めて提訴された事例もあります。
また、高校野球は、学校教育の一環として行われているので、当然学校側の責任も問われることになりえます。それが国公立の高校であれば、当該自治体や国家賠償も問題となり得ます。
高校教育は義務教育ではありませんが、学校側は、生徒を入学させた以上、教育を受けさせるに当たって生徒の身の安全が害されないように配慮する義務を負うからです。具体的な義務としては、こまめに休憩をとらせる、水分補給を徹底する、体調の変化に注視する、それでも危険な場合には選手を試合から抜けさせ、場合によっては試合を辞退する、などの措置を取る必要があるでしょう。
高校3年間の短い青春を謳歌すべく、野球に打ち込み、まさに熱中する姿は私たちに忘れかけた何かを思い起こさせるような気もしますが、熱中が熱中症にまで至ってはいけません。