違法残業事件に「略式起訴不相当」で正式裁判へ…一体どういうこと?
勾留されている被疑者の場合は、略式命令であれば勾留満期に略式起訴され、即日略式命令が出て事件が終わり、釈放されるというメリットがあります。
これが略式命令ではなく、通常の裁判だと、公判が終わるまで起訴後も勾留による身体拘束期間がさらに続くことになってしまいます。略式命令の手続では公開の法廷での公判は開かれません。
■どんな場合に略式起訴不相当とされるのか
上記のように、罰金刑が定められている犯罪について、被疑者が認めており、反省の態度も示されている場合に略式起訴はよく利用されます。
他方で、裁判所が略式命令によることが不相当と判断した事件については、検察官からの略式起訴であっても、通常の公判を開くことになります。
どのような場合に略式命令が不相当であるかは刑事訴訟法上具体的には明示されていません。
書面の証拠だけでは犯罪事実を認定できない場合や罰金刑しかなく法定刑が軽くても犯罪行為の内容が重大で、社会的影響が強い事件など、公開の公判による審理を開くべきであると考えられる事案で、通常裁判に移行されることが想定されます。
■今回の電通事件に関して思うこと
違法残業事件の罰金刑は低額であり、大企業にとっては制裁の効力があまりありません。